相手を否定するよりも、自分の思いを実行する
今の政治においては、野党が何を言っても、政権交代する可能性はゼロと言ってもいいくらいになっています。
理由は簡単で、与党側も野党側も問題意識はほぼ同等に持っている中で、与党側は既存の体制・設備・勢力、そして、世界情勢などを考慮しつつ、その問題に取り組むために、動きが遅くなったり、中途半端な動きになったりするのに対し、野党側は、そのようなしがらみをあまり考慮しなくてもいいことから、綺麗ごとや表面的な対応策ばかりを言い、それが実現できない与党を非難するものの、いざ、その野党が与党の立場になった場合には、結局、それを実現できる力がないとわかっているからです。
自分以外の人や組織を否定したり、非難するのは比較的簡単です。実際に、おっしゃるとおりの問題は抱えていることと思います。
ただ、それを声高らかに訴え、喧嘩口調ぐらいにまでなっている人の9割以上の人が、それを他人事で、自分以外の他人が解決することと考えているから、ピーチクパーチク言えるのです。
会社などでも、新入社員が会社の既存体制に対して文句を言い、こう変えていけばいい、と改善案を述べる場合もあります。私も昔そうでした。
そして、「じゃあ、改善案言うだけでなく、実際にどんどん改善していっていいよ」と言うと、「自分の仕事ではない」とか「自分は詳しくはわかっていない」と言って、結局、自分では何もしません。「何かいい案があったら、教えてよ」と言っても、それもできません。
相手や組織などを否定するのは、とても簡単なことですが、自分がその立場に立って、具体的にどのように実行していくか、ということを本当に本当に真剣に考えると、そう簡単には相手や組織などを否定することはできません。逆に、その大変さが理解できるので、どちらかというと否定するどころか歩み寄るぐらいな感じになってきます。
しかし、例えば、会社の上司、もしくは、政治家などに対しては、「自分はその立場ではなく、それ相応の立場の人が、しっかりとプランを作って実行していくのは当然だ」と思っている人が多いのです。
確かに「自分はその立場ではない」ということは、そのとおりかもしれませんが、「自分がその立場になったら」ということは常に考えていた方が良いです。そして、自分がその立場なら、当然できていること、やっていることが、全くなされていないと思うならば、自信を持って否定をしても良いと思います。なぜなら、どうやればいいのかのアドバイスや支援ができるからです。
ただし、相手の立場やその周辺の状況をかなり把握していないと、結局、単なる知ったかぶりをした建前論しか言わない人になり下がってしまうので、やはりそこには謙虚さというものが必要になります。
一番格好いいのは、自分以外の人や組織などが何をやっていたとしても、それを否定したり非難したりすることなく、淡々と自分ができることややれることをこなし、その領域をどんどん大きくしていくことで、自然と、その自分以外の人や組織が変わっていく原動力になったり、影響力になったりすることです。
そのような信頼感が醸成できれば、政権交代もありえるかもしれませんが、今の調子だと、与党側に相当な不信感が出て、「現与党よりはマシ」という状態にならない限りは、政権交代は夢のまた夢の状態だと思っています。