できないことはできることがわかること
多くの人は、自分でできることが少ないと、自分を無能に感じてしまいます。
そして、その少ない選択肢の中で、自分ができることを考えなければならないというのはつらいことです。
できることがたくさんあって、その中から一番得意なものや楽しそうなものを見つけられたら、どんなにか幸せかと思ってしまいます。
ですが、「器用貧乏」という言葉があるように、なんでもできてしまう人からすると、その中から自分が軸に据えて目指すべきものが見つからなかったりするのです。
本当は自分に合っているもの、自分が将来を通じて取り組んでいけるもの、自分の天職となるものがあるのに、他のこともうまくできてしまい、かつ、その他のことが世間的には評価が高かったり、お金が稼げたりすると、それに気が付かないまま、他のことを選択してしまったりすることもあるのです。
できることが少なく、できることが限られている場合、選択肢は少ないので、その中から最適なものを選択することはさほど難しくないですし、仮に、世間的には評価が低かったり、お金が稼げなかったりしたとしても、それしかできないわけですから、あきらめもつきます。
しかし、人間は、必ず得意なものとかその人しかできないものを持っているとするならば、できることが少ない、ということは、その少ないできることの中に、それが含まれている確率が高くなるわけです。
そして、一生の間で、自分の選択が合っていたかどうかの迷いも少ないと思います。なぜなら、できることがたくさんあったのにうまくいっていない場合には、他の選択肢が適切だったのではないかと思ってしまいますが、できることが少ない場合には、もう選択肢が残っていないので、選択したものを高めていくしかないわけです。
覚悟ができていると言ってもいいと思います。
このように、いろいろなことがさらっとできている人をうらやましいなと私たちは思ってしまいますが、できない人は、できないながらも自分でできることを何とか発見できれば、もしかしたら、何でもできてしまう人以上のパフォーマンスを発揮できる可能性があることを覚えておいた方がよいかもしれません。