新NISAの原資がない場合には特定口座の投資信託や株式を売却して用意する
新NISAの詳細がほぼ決まりましたが、残念ながら、期待されていた旧制度からのロールオーバー(初回投資をキープしたまま非課税枠を移行すること)はできないルールになっているようです。
◇新NISAの概要
その代わりに、年間投資額も非課税保有限度額も大幅に拡大され、さらに非課税保有期間も無期限に拡大された点は大きなメリットだと言えます。
年間投資額が拡大され、非課税保有期間も無期限ならば、いち早く、多額をこの非課税枠に入れ込むのが得策なわけですが、年間360万円を5年間捻出し続けるのは結構きつい人が多いと思います。
そんなに慌てず、何年もかけてゆっくりと非課税枠を埋めていくようにしてもいいのですが、せっかく、年間360万円も枠があるならば、余裕資金をできるだけ突っ込んでいった方が得策なので、その余裕資金について考えてみたいと思います。
現行制度においても、つみたてNISAや一般NISAで、非課税枠に投資している場合には、まずは、その金額が投資対象です(当たり前ですが)。
次に、現時点で言えば、現行一般NISAで5年間の保有期限が経過する金額も文句なく投資対象です。初回投資時の金額で非課税枠に入れるロールオーバー扱いにはなりませんが、これまでロールオーバーの金額で非課税枠が狭まってしまっていたことにデメリットを感じていた方は、360万円まで拡大されたので、存分に非課税枠を活かしきることができます。
そして、最後ですが、現在、特定口座などに保管されている投資信託や株式を一度売却して、新NISA枠で再投資する方法です。
この際、利益が出ているものに関しては、売却時に利益の約20%課税されてしまいますので、できれば、
- 利益がほぼゼロのもの
- 高配当のもの→利益が出ているものでも長期保有で配当が非課税になった方が得になりそうなもの
- 利益がプラスのものとマイナスのものの合算値が利益がほぼゼロになるもの(をまとめて解約)
は、どんどん、特定口座での売却、新NISAの非課税枠での買付を実施していった方がよいと思います。
特に、上記の1点目と3点目については、新NISAへの口座に移すコストは、特定口座での売却時手数料だけですので、対象のものがあったら、ほぼ何も考えずに移行させていった方がよいと思います。
NISAという非課税枠がありながらも、特定口座に投資するメリットは、利益がマイナスになった場合、プラスになっているもんとお利益相殺ができる点です。
新NISAへ移行したいと思っているものが長期投資を目的としているものであるならば、上記の3点目の手法を活用して、移行コストを最小限にして、移行後に長期に渡る非課税メリットを存分に享受した方が良いと思いますので、特定口座の銘柄については、「利益相殺」を頭に入れながら、どんどん新NISAへ移行していくこをお勧めします。